  
北海道の民宿を利用する上で、知っておいても損はない、ということを教えましょう。
まず、本州の民宿と北海道の民宿の大きな違いは、本州の民宿経営は兼業が多いが、北海道の民宿経営者はほとんどが専業だということ。なかには冬期間どこかでアルバイトをしなければならないような人もいますが、それはまれなケースです。
建物も本州の民宿のように民家(自宅)を改造して客室を作るようなことをしていません。民宿を始めるために建物そのものを建てて商売をしています。
ですから本州の海水浴場の近くにあるような、ふすま民宿と呼ばれるようなものはありません。もちろん客室には鍵がかかります。
カップルで行っても大丈夫です。ただ、北海道の民宿も本州の民宿と同じように、とうちゃんとかあちゃんでやっているところが多いでしょう。だから、予約を入れたり、実際に利用したりするときに、ある程度、北海道の宿の実状を知っておくことが必要なのです。
@予約の電話を入れるとき
電話をする時間帯は、日中に会社の電話を使った方がいい
(電話をしてはいけない時間帯は宿が忙しい頃、たとえば午後5時から7時。とうちゃん、かあちゃんでやっているから忙しい時間帯に電話を入れると、相手にされないことがある。)
(午後10時以降深夜は絶対だめ、宿のとうちゃん、かあちゃんは疲れて早く寝てしまっている。都会人の時間感覚ではだめだ)
予約には ○月○日、○人で空室があるか尋ね、必ず料金を聞くこと。自分の予算と合わなかったら「検討して見ます」と言って電話を切ったほうがいい。
2日と20日、4日と8日、11日と17日は聞き間違いが多い。耳が遠くなった民宿のおやじは意外にいるものだ。7月8日は「なながつようか はちのひ です」と言ったほうがいい。ついでに「○曜日」と曜日も言ったほうが間違いが少ない。
予約が取れたら、名前・電話番号・当日の到着時刻を伝える。到着時間がわからない場合は、とりあえず「午後6時頃」と言っておいた方がいい。それと車で行くのか、JRで行くのかも言っておいたほうがいい。そして、大切なのは、予約がとれた宿に自分のメモにすぐチェックを入れることだ。そんなばかな、という人がいるが、予約が取れた瞬間に自分がどこに電話をかけたかわからなくなる人がいる。これは本当の話。とくに混雑している時期に、電話をあちこち掛けまくると実際に起こることだ。
予約を入れた段階で、夏期シーズンは予約金を送るように言われることが多いが、予約金は予約の電話から10日ほどで送ったほうがいい。予約金は宿泊代金の前金だから、お互いに安心できるし、宿もあらかじめそれなりの部屋を用意するものだ。宿は予約金を送ってくれた人を基本的には大事にする。
(車での旅行が増えて、予約もなしに走り回る人が多くなったが、そういう人がいちばん損をする可能性が高い。「泊まるところなんてどこでもいいや」と思っているからで、結局とんでもない宿に泊まるはめになる。狭い部屋に押し込められ、食事もないし、宿泊料金もボラれる。恥ずかしい話しだが、北海道にはまだまだそんな宿がある。観光地で立派なホテルと名が付いたところでも同じだ。)
A実際に利用する時
民宿に泊まる際に用意しなければならないものは、まず洗面用具。ホテルと違ってタオルや歯ブラシは設置されていない民宿が圧倒的に多いのが現実。そういうものを旅行に持っていきたくないという人は最初から民宿を選ばないほうがいい。へたをするとヘヤードライヤーさえ設置されてない民宿もあるので、それなりの覚悟が必要なのだ。
北海道と本州の気温の差は時としてかなりなものになる。北海道では8月にストーブを使うこともありうるので、トレーナーなど長袖を絶対持って行ったほうがいい。これはホテルに泊まる人も同じだ。
宿泊当日の到着が午後6時を過ぎる場合は絶対に、電話を1本入れたほうがいい。宿のおやじも安心するし、予約の確認の意味もある。
宿への到着は午後7時が最低ラインだ。宿のかあちゃんは夏の時期には食中毒を最も恐れている。毎年、何件かホテルで食中毒が発生するが、午後3時に作り始めた料理を7時半過ぎに食べること自体間違っている。民宿であまり食中毒の発生がないのは、食材管理の関係とか理由がいろいろ考えられるが、夜8時になってやっと
夕食を食べるようなツアーバスの旅行プランがそもそも間違っている。(もちろん食中毒を出したホテルの責任は重いが・・・)
宿に着いたら、食事と風呂が待っているが、どちらを先にするかは宿のおやじに聞いた方がいい。どちらでもいいと言われたらいいのだが、カニの刺身など注文して、風呂に入ってから食べようとしたら、溶けててカニの形もなかった、ということもある。風呂に入ってから、食事をしたいなら、それを宿のおやじに言ったほうがいい。とにかく、自分はこうしたいんだ、ということをきちんと言っておくべきだ。
1週間も北海道旅行をすると宿の食事に飽きることもある。札幌や函館・旭川・帯広・釧路・網走などの小都市で宿泊する場合、夕食は外食するのもひとつの方法だ。しかし、層雲峡・阿寒湖・屈斜路湖・知床のような純粋な観光地では外食しようにも、食堂すらない場合がある。こういうところでは、宿での1泊2食付きが大原則だ。(状況も知らずに夕食を断るとパンと牛乳になる場合がある)
部屋での居住性が良くなかったら、率直に宿のおやじにいうべきだ。たとえば、部屋が人数の割に狭い、トイレのにおいが臭い、テレビの写りが悪い、などいろいろな問題が発生するかもしれない。そんな時は遠慮しないでクレームをつけたほうがいい。黙っていることにより、旅行の思い出が半減する。
最近、コインランドリーを設置している宿が多くなった。洗濯をしたいなら、とにかく宿に着いたら真っ先にする。食事や風呂より最優先。乾燥に時間がかかるから。
よく次の日の朝に洗濯をする人がいるが、これはだめ。乾かないまま次の宿泊地まで持っていくことになる。
(宿のコインランドリーが混雑していたら、思い切って洗濯はあきらめたほうがいいこともある。乾燥ができなければ意味がない。ジーンズやバスタオルは特に乾燥に時間がかかる。洗濯をするより旅行先でやることはたくさんある。最近の若い人は清潔好きになったが、たかだか4、5泊の旅行でジーンズまで洗濯しなければならないのか疑問だ。旅行中の貴重な時間を洗濯に費やすのはばかばかしい。第一、ジーンズを汚すほどワイルドな旅行をしているかといえば、ますます疑問になる。)
洗濯に限らず、混雑している時期に民宿を利用しようと思ったら、なんでも早め早めのほうがトクをする場合が多い。予約から実際の宿への到着、翌朝の出発など、すべてに当てはまる。特に宿に遅く到着するとロクなことがない。到着予定時刻を1時間も過ぎて、連絡もしない場合は宿泊を断られることもある。そういう旅行者はほとんどが車での移動なのだが、北海道では交通渋滞に巻き込まれた、という言い訳はまず通用しない。夜の7時過ぎまで車で走り回る旅行自体やめたほうがいい。それは仕事をしているのと同じだ。
とかく旅行に出ると欲張りになる。あっちも見たい、こっちも行きたい、カニも食べたい、洗濯もしたい、風呂も入りたい。すさまじい行動力が必要になる。どこかで何かを切り捨てることも必要だ。北海道は一度だけでは到底周りきれるものではない。最近は北海道の北部、東部、中央部など、ある程度ポイントを絞った旅行をする人が増えてきた。
そして、何泊かの行程のなかでむちゃくちゃのんびりした時間を持つ人も増えてきた。半日オホーツクの海岸を散歩したり、釧路湿原を歩いたり、そういった時間をとることも大切なのかもしれない。
まだまだいろいろ工夫はあるが、わからないことは宿のおやじに何でも聞いたほうがいい。そこで会話も生まれるし、何かおもしろい話しも聞けるかもしれない。民宿に泊まるということは、宿泊料金だけではない、宿そのものの良さを感じられるチャンスもあるのだということをわかってもらいたい。民宿のおやじの多くはそう思っている。
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